【好評発売中】子育ての『焦りと怒り』を手放すマネジメント思考法(詳細はこちら)

「パパ、僕ひとりでできたよ!」を引き出すマネジメント。サイトマネージャーが実践する、絶妙なグラデーションと自信の作り方

「何でまた忘れてるの!しっかり用意しないとダメじゃないか!」

平日の夕方、ロードバイクのスクールへと向かう車内で、私は喉元まで出かかった怒鳴り声を、ギリッと奥歯を噛み締めて飲み込みました。

▼ そもそも、時間割すら揃えられない息子をなぜスクールに入れたのか? 親のドロドロの下心と、そこで起きた「第三者の魔法」による激変の記録はこちらです。

共働きの我が家にとって、平日のスクール送迎はまさに「時間との戦い」。私か妻が仕事を早めに切り上げ、ギリギリで帰宅して息子を車に乗せるという、分刻みのミッションです。

最初の頃は「絶対に遅刻させまい」という親の下心から、私が家を出る前にウェアから機材、ドリンクのセットまで全てを完璧に準備し、息子は「学校から帰って着替えるだけ」という、至れり尽くせりの状態にしていました。

いちよう普段は50名の組織を率いるサイトマネージャーの私。仕事柄、自分で巻き取ってやった方が確実に早いし、ミスもありませんからね(笑)。

でも、ふと気づいたんです。「このままじゃ、こいつは一生自分一人で準備すらできないままなんじゃないか?」と。

そこで私は、徐々に私の帰宅時間を遅くして、彼自身に準備を任せる作戦に出ました。しかし、現実はそう甘くありません。任せてみたら案の定、心拍計の装着を忘れたり、ドリンクボトルを家に置いてきたりと、抜け漏れのオンパレードです。

(仕事なら「俺がやった方が早い!」で一瞬で片付くのに……!)

圧倒的なスピード感の違いに胃がキリキリと痛みますが、そこはグッと一呼吸。あえて少し笑って、こう声をかけます。

「おっ、忘れたのか(笑)。まあ、自分で準備して『忘れると自分が困る』って肌でわかった方が、次は絶対忘れないようにしようって思うようになるよな」

仕事の「納期・効率」と、子育ての「タイムラグ」。 今回は、つい全部やってあげたくなる衝動を抑え、息子が「パパ、僕ひとりで全部できたよ!」と誇らしげに笑うまでに私が実践した、絶妙な「グラデーション(足場の外し方)」の記録をお届けします。

目次

「手取り足取り」と「完全放置」の狭間で揺れる親の葛藤

「あーもう、パパがやるから退いて!」

準備の手際が悪く、ダラダラと動く息子を見ていると、毎日この言葉が喉まで出かかります。

私は普段、いかに効率よく、最短ルートでタスクを終わらせるかを息をするように考えています。だからこそ、息子の「無駄だらけの動き」を見ると、無意識のうちに脳内でタイムロスを計算してしまい、イライラで胃が痛むのです。

実際、私が全部準備してしまえば、絶対に忘れ物はしないし、スクールに遅刻することもありません。 しかし、それをやってしまうと、彼はいつまで経っても「自転車の準備すら一人でできないまま」です。

▼ 親が手取り足取り準備をしてしまうのは、私が最も戒めている「お節介な料理人」になってしまうということ。ビジネスの現場で胃を痛めながら辿り着いた、私のマネジメントの原点はこちらです。

では逆に、「じゃあ、今日から全部一人でやってみろ」と完全放置(放任)したらどうなるか?

間違いなく準備は終わらず、確実にスクールに遅刻して周りに迷惑をかけます。最悪の場合、「もう行きたくない」と自転車自体を嫌いになってしまうリスクすらあります。

「全部やってあげる(過干渉)」か、「全部やらせる(完全放置)」か。 この極端な二択の間で、時計の針を見つめながら奥歯を噛み締めて待つ。親にとって、これほど苦しい時間はありません。

サイトマネージャーの必殺技。「タスク分解」と「足場外し」

ここで私は、感情的になるのをやめ、冷静な「ビジネスモード」を発動することにしました。

過干渉でも放置でもない、第3の道。教育やビジネスの現場で使われる「足場かけ(Scaffolding:スキャッフオーディング)」の導入です。

建物を建てる時に足場を組み、完成に近づくにつれて少しずつ足場を外していくように、親がサポートのグラデーションを作っていく作戦です。職場で実践しているプロジェクト管理の手法を、そっくりそのまま子育てに転用しました。

まずは、スクールに行くまでの準備を【タスク分解】します。 ①ウェアに着替える ②ボトルにドリンクを作る ③心拍計や機材をセットする ④自転車を玄関に出す

これをいきなり全部やらせるから失敗するのです。 最初の週、私はあえて自分の帰宅時間を「いつもより5分だけ」遅くしました。そして息子には「パパが帰るまでに、ウェアだけ着ておいて」と1つのタスクだけを任せました。

帰宅して着替えていれば、大げさに褒める。残りの②〜④の面倒な準備は、私が超特急で巻き取ります。

次の週は、帰宅時間をさらに5分遅らせます。「今日はウェアを着て、ボトルも作っておいてね」。 その次の週は、帰宅時間をまたさらに遅らせて「心拍計のセット」まで任せる。

もちろん、冒頭に書いたようにボトルを忘れたり、心拍計をつけ忘れたりするミスは起こります。その度に「何やってるんだ!」と怒鳴りたくなる衝動をグッと飲み込み、「忘れると自分が困るってわかったでしょ?」と、あえて痛い目を見せて学習させました。

親が裏で緻密に「所要時間」を算定し、失敗しても致命傷(大幅な遅刻)にならないよう、ギリギリのラインで帰宅時間をコントロールしながら、少しずつ「親の足場」を外していったのです。

「僕が全部やったんだ!」最高の勘違いを生む黒衣(くろご)の美学

そして数週間後。 私が仕事を終え、(意図的にギリギリの時間を狙って)家に帰り、玄関のドアを開けた時のことです。

そこには、ウェアを完璧に着こみ、ボトルをセットし、ロードバイクの横でヘルメットまで被ってスタンバイしている息子の姿がありました。

私と目が合うと、彼は誇らしげな、満面の笑みでこう言いました。

「パパ、僕ひとりで全部できたよ!」

その言葉を聞いた瞬間、私の心の中のサイトマネージャーが、ひっそりと、しかし力強くガッツポーズをしました。

(本当は、お前が失敗しても大丈夫なようにパパが裏でタスクを小分けにして、帰る時間を秒単位で調整してたんだぞ……!)

そんなドロドロの「親の下心」や「マネジメントの種明かし」は、絶対に口に出しません。

「おお!すごいな!完璧じゃないか!」

そう言って頭を撫でながら、私は「黒衣(くろご)」に徹する喜びに浸っていました。親の手柄なんて、どうでもいい。大切なのは、彼自身が「自分の力でやり遂げた」という圧倒的な自信(自己効力感)を持つことだからです。

【親のためのマネジメント視点】今日の気づきとメソッド

子育てでも部下の育成でも、実は「待つ」という行為が一番の重労働です。 手を出してしまった方が、自分は圧倒的に楽だからです。

しかし、ただ祈るように待つ(放置する)のではなく、相手のレベルに合わせて見えない足場を組み、できたところから少しずつ外していく「戦略的な待ち」こそが、マネージャーの本当の仕事なのだと痛感しました。

さて、スクール送迎の準備というプロジェクトは、無事に彼の手に渡りました。 次なる私の課題は、日々の家でのローラー練習の準備(機材やドリンクのセット)も、彼自身にやらせることです。

▼ ちなみに、この「家での退屈なローラー練習」自体も、彼が自発的に乗るようになるまでには壮絶な試行錯誤がありました。AIと一緒に仕掛けた泥臭いゲーミフィケーションの記録はこちらです。

「また一から足場を組むのか……」とため息をつきつつも、どこかワクワクしている自分がいます。 次はどんな足場を組んで、どうやって外してやろうか。

不器用な親の泥臭いマネジメントは、まだまだ続きます。

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この記事を書いた人

ロードバイクに打ち込む中学生の息子の伴走記録と、親のメンタルサポートについて発信しています。50名を率いるマネージャーとしての経験を活かし、息子の「専属メカニック兼メンター」として奮闘中!

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