以前の記事では、AI(Gemini)を活用して息子のロードバイクの練習メニューを組んでいる裏側をお話ししました。 「プロからの逆算」という冷徹なデータをもとに、Z2(低強度)トレーニングの重要性を導き出した記録です。
▼ 私が『極上の素材』として仕入れてきた、AIによる練習メニュー構築の裏側はこちら

この記事を読んで、「なるほど、AIが作った完璧なメニューを息子さんにきっちり管理してやらせているんですね」と思った方もいるかもしれません。
でも、現実はそんなに美しくありません。
私が息子に対して行っているサポートの根底には、50名以上の組織を束ねるマネジメント経験から行き着いた、ある一つの強固な「哲学」があります。
それは、「親は絶対に『料理人』になってはいけない」ということです。
「親の思い通りに動かしたい」というコントロールの罠
子育てやスポーツのサポートにおいて、親はつい「料理人」になりたがります。
「パパがAIを使ってここまで完璧なレシピ(練習メニュー)を調べ上げたんだから、この通りにやりなさい!」と、エプロンを着せて子どもにフライパンを握らせ、横から「火が強すぎる!」「もっと早く回して!」と口を出してしまう。
親が料理人になってしまうと、子どもは単なる「調理器具」になります。
最初は親の言う通りに動いてタイムが伸びるかもしれません。しかし、少しでも壁にぶつかると「親が言ったからやったのに!」と責任を転嫁し始めます。
「叶わなかったらダサい」という思春期特有の繊細なプライドも相まって、親にやらされている状況では、自律したアスリートには絶対に育ちません。
親は「最高の素材提供者」であれ
では、親はどうあるべきか? 私は自分自身の役割を、「最高の食材を仕入れてくる素材提供者」だと定義しています。
Geminiを使って徹底的に調べ上げたデータや、スポーツ科学の知見。これらは私が汗水流して仕入れてきた「極上の素材」です。
私はその素材を、テーブルの上に置きます。 「プロを目指すなら、今の時期はこのメニュー(素材)が必要らしいぞ」と。
しかし、その素材をどう調理するか。 焼くのか、煮るのか、それとも「今日はやらない」と決めるのか。 包丁を握る最終決定権は、三ツ星シェフである「息子」に完全に委ねています。
綺麗事じゃない。「やらないの?」と喉まで出かかる葛藤
ここで「私は一切口出しせず、温かく見守っています」と言えればカッコいいのですが、現実は違います。
息子がロードバイクに乗らず、夜中までゲームに没頭している日もあります。 そんな時、私の口からはつい「今日、やらないの?」という言葉が漏れ出します。せっかく仕入れた素材を腐らせたくないという「親の下心と焦り」です。
しかし、それでも最後の一線だけは絶対に超えないようにブレーキをかけます。
「パパは材料を与えただけ。それをどう料理するか、最終的に今日やるかやらないかを決めるのはお前自身だ」と。
「自分で火をつけた料理」しか、本物にはならない
親がコントロールを手放し、「情報(素材)の提供」と「決定(調理)」を完全に分離すること。 これは、親にとって気が狂いそうになるほどの忍耐を伴う「待つマネジメント」です。
▼ この「待つマネジメント」を勉強面でも実践した結果、ヒヤヒヤの連続になっている我が家のリアルはこちら(笑)

でも、親が「どう料理してもいい」と腹を括って任せ続けると、子どもは次第に自分の頭で考え始めます。 「よし、今日はこの素材を使って練習してみよう」と、自らコンロの火をつける瞬間が必ずやってきます。
親が無理やり作らせた料理より、自分で決めて、自分のエンジンで火をつけて作った料理の方が、何百倍も彼の血肉になる。
そう信じて、私は今日も「やらないの?」と言いたくなる気持ちを奥歯で噛み殺し、最高の素材を仕入れる裏方に徹するのです。

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