正直に告白します。私が息子をロードバイクスクールに入れようと思った理由は、息子が初めてスポーツを前向きにやろうとしているので、やるからには強くなって欲しいという気持ちがありました。
それと同時に、「お金を払ってプロにお任せすれば、私が口うるさく言わなくても勝手に速く、そして礼儀正しく育ててくれるんじゃないか」という、親としての都合の良い「下心」も正直ありました。
だって、家での彼は、小学校の時間割すら親が「明日の準備した?毎日、同じこと言ってるよね。」と声をかけないと動かない、ごく普通の(いや、ちょっとルーズな)12歳です。 「なんで自分のことなのに自分でできないんだ」と、毎日イライラして口を出しては親子喧嘩になる日々。
(高いお金と、送迎時間を犠牲にするんだから、きっちり結果を出してもらわないと困るぞ……)
そんなドロドロした期待とプレッシャーを抱えながら通わせ始めたスクールですが、そこで待っていたのは、親の私ですら想像していなかった息子の「激変」でした。
自転車の練習の日だけは、誰に言われるでもなく自分からウェアに着替え、機材や水の準備を完璧にこなす。大人に対して自然と敬語を使い(教えたこともないのに勝手に話していて正直びっくり)、嘔吐してトラウマになるほど過酷だった練習にも、親もかなりフォローしましたが、涙をこらえて食らいついて、克服し、小さな自信に繋げていくようになったのです。
「ロードバイクのスクールって、ガチ勢ばかりでハードルが高そう……」
そう思っている親御さんも多いかもしれませんが、今はオンラインのスクールも普及しており、実は少年野球や習字教室と同じくらい、身近で飛び込みやすい習い事になっています。
今回は【ロードバイクスクールのすすめ】として、時間割も揃えられなかった息子を自律へと導いてくれた「スクールの絶大なメリット」と、送迎の手間や「パパ、あの先輩の機材かっこいいな……」という恐怖のおねだりに冷や汗をかく「親のリアルな負担」について。
綺麗事を一切抜きにして、等身大のお父さん目線で語りたいと思います。
敷居が高い?いや、実は「野球や習字」と同じ身近な習い事
ロードバイクのスクールと聞くと、「ピチピチのウェアを着たガチ勢ばかりで、うちの子なんてついていけないのでは?」と身構えてしまうかもしれません。私も最初はそう思っていました。
でも実際に入ってみると、少年野球やサッカースクールと同じように、自転車が好きな子どもたちが集まる、とても身近な「習い事」の一つでした。
最近では、近くにチームがなくても、オンラインで全国どこからでもプロの指導を受けられるスクールが普及しています。親が自転車の専門知識を持っていなくても、気軽にプロの環境に飛び込める時代になっているのです。
時間割も揃えない息子が、自ら機材を用意し「敬語」を使い始めた日
スクールに通い始めて一番の驚きは、生活態度の変化でした。
家では「明日の準備した?」と毎日100回言っても動かない息子が、自転車の練習の日だけは別人のようになります。誰に言われるでもなく自分でウェアを着て、ボトルに水を入れ、機材のチェックまで完璧にこなすのです。
(おいおい、その集中力と自主性を、1ミリでもいいから学校の準備に向けてくれよ……) 喉まで出かかった小言を、私は何度も奥歯を噛み締めて飲み込みました。
さらに驚いたのは「敬語」です。 親が家で教えたわけでもないのに、コーチや年上の先輩たちと接する中で、「あの人の態度は良くないな」「大人にはこう話すんだな」と他人を観察して学び、いつの間にか自然と敬語を使うようになっていました。
親が家で口うるさく「ちゃんと挨拶しなさい!」と怒るよりも、集団の中で揉まれる方が、何倍も早く社会性を身につけていくのだと思い知らされました。
怒られて辞めるか、褒められて燃えるか。「第三者の魔法」とタフネス
そして、親として一番ありがたかったのが「第三者の魔法」です。
親が「練習しろ!」と言うと反発して親子喧嘩になるのがオチですが、スクールは違います。ある時、コーチから少し褒められた息子は、「もっと褒められたい!」と目を輝かせ、自分から進んでローラー台に乗るようになりました。 (親がどれだけ言ってもやらなかったのに……)と少し寂しいような、でもホッとするような複雑な親心です。
もちろん、良いことばかりではなく、厳しい現実もあります。 練習をしてこなくてコーチに怒られ、モチベーションを下げて辞めてしまう子もいます。うちの息子も、過去には集団走行についていけなくて悔しい思いをしたり、限界を超えて嘔吐し「もう行きたくない」と泣き言を言ったトラウマもありました。
▼ 実際に心拍数が異常な数値に跳ね上がるほどパニックになった「トラウマの練習場」に、親が『逃げ道』を用意して挑ませた、泥臭い克服の記録はこちらです。

そのたびに、親としては「せっかく高い月謝を払ってるんだから、弱音を吐くな!」と強引に口出ししたくなるのを必死に堪えました。
でも、親が無理に引っ張るのをやめ、スクールの環境と本人の力を信じて待つことで、彼は涙をこらえながらトラウマを乗り越え、確実に見違えるほど精神的にタフになっていきました。
光の裏にあるリアルな影。送迎の労力、お金、そして「機材欲しい」問題
しかし、綺麗事ばかりではありません。親にとってのリアルな「影(負担)」もしっかり存在します。
まずは、お金と時間です。毎月のスクール代に加え、週末は遠方の練習場所への送迎で親の休日はゴリゴリ削られます。「今日は疲れてるから休みたいな……」という親自身の怠け心との戦いでもあります。
そして何より恐ろしいのが、「機材の誘惑」です。 スクールに行けば、当然上のクラスの先輩たちが乗っているピカピカのロードバイクが目に入ります。ある日、息子が無邪気にこう言いました。
「パパ、あの先輩が使ってるホイールと機材、めっちゃ軽そうでかっこいいな……。僕も欲しいな」
▼ 実は以前にも「15万円のロードバイクが欲しい」とねだられ、妻の猛反対に遭いながらも、あえて自腹(お年玉)で買わせることで覚悟を引き出したエピソードがありました。

背筋が凍りました。 (お前、あれが全部でいくらすると思ってるんだ!パパのお小遣い何ヶ月分だと思って……!) という心の叫びを必死に隠し、「ま、まぁ、もっと速くなったらな……ハハハ」と引きつった笑顔で誤魔化す日々です。
口を出したい自分を封印し、「ただの送迎ドライバー」に徹する胃の痛い日々
お金も時間もかけていると、つい親は見返り(目に見える結果)を求めてしまいます。 「もっと真面目にやれ!」「せっかく高いお金を払ってるんだから!」と、つい口うるさいコーチのように振る舞いたくなる瞬間が何度もあります。
しかし、親があれこれと細かく指示を出してしまえば、せっかく芽生えた彼の「自主性」は一瞬でしぼんでしまいます。親の役割は、現場で口を出すことではなく、彼が成長できる「良質な環境」を用意し、あとは黙って見守ること。
「私はただの送迎ドライバーだ」と自分に言い聞かせ、文句を言いたくなるのを奥歯を噛み締めて飲み込む。
▼ 親は手取り足取り教える「料理人」になってはいけない。最高の環境(素材)だけを用意し、あとは子どもに任せるという、私がビジネスの現場で学んだ「待つマネジメント」の原点はこちらです。

この「手出し口出しを我慢する」という泥臭い葛藤こそが、スクールに通わせる親の最大の試練かもしれません。
【親のためのマネジメント視点】今日の気づきとメソッド
ビジネスの現場でも、これと全く同じことが言えます。
上司が手取り足取りすべてを教え、細かく管理する(マイクロマネジメント)だけでは、部下は「言われたことしかやらない人」になってしまいます。
本当に自律した人材を育てるには、良質な「外部環境(社外研修や他部署との交流など)」という成長の足場を与え、あとは本人の力を信じて任せることが重要です。上司や親が直接言うよりも、第三者(メンターや外部のコーチ)の言葉の方が、驚くほど素直に相手の心に響き、大きな化学反応を起こすことが多々あります。
「せっかく投資したんだから」と口を出したくなるのをぐっと堪え、環境だけを整えて一歩引く。 そんな「待つマネジメント」が、結果的に人も組織も大きく育てるのだと、息子の背中から教えられました。

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