「パパ、僕、ロードバイクが欲しい」
休日のリビング。YouTubeで大好きな自転車配信者「マサ」さんの動画を見ていた10歳の息子が、目をキラキラさせて振り向いた瞬間……私の胃はキュッと嫌な音を立てて縮み上がりました。
いやいや、ちょっと待ってくれ。 君が今乗っているそのミニベロ(小さな自転車)、「パパと一緒に乗りたい!」と言って買ったの、つい半年くらい前だよね……?
こっそりスマホでロードバイクの相場を調べてみると、さらに胃痛が加速しました。エントリーモデル(入門機)の安いものでも、ざっと10万円〜15万円。 子どもの「ちょっとやってみたい」という思い付きで買い与えるには、あまりにも高額すぎます。
当然、キッチンから妻の冷酷なレッドカードが即座に突きつけられました。
「半年前に自転車買ったばかりでしょ! もっと今の自転車に乗ってからじゃないと、絶対にダメ!」
ぐうの音も出ない、100%完璧なド正論です。 私も夫として、そして家計を守る大人として妻に深く同調し、「そうだな、うちでは絶対買わないぞ」と、夫婦で強固な絶対防衛線を張りました。
……しかし。 口では「絶対無理だぞ」と厳しく息子を諭しながらも、私の心の中では、親としての「あるドロドロとした下心」が静かに、しかし熱く燃え上がり始めていたのです。
今回は、「買って!」とねだる子どもと、高額出費に反対する妻の板挟みになりながら、父である私が裏でコソコソと企てた「お年玉・投資ハック」の泥臭いドキュメンタリーをお届けします。
子どもの「高いものが欲しい病」に頭を抱えている親御さん、必見です(笑)。
敷かれたレールを歩んだ父の「ドロドロした下心」と胃の痛み
妻の「絶対買わない」というド正論に対し、私は夫として「まったくだ。10万円〜15万円の自転車なんて、小学生には早すぎる」と深く頷いていました。
しかし、私の心の中(胃の奥底あたり)では、全く別の感情がドロドロと煮えたぎっていたのです。
(……マジか。ゲームばかりだった息子が、自分から「スポーツをやりたい」って言い出したぞ……!?)
正直、歓喜のあまりガッツポーズしたい気分でした。 というのも、私自身はこれまで「親の敷いたレール」をそつなく歩んできた人間だからです。ちゃんと勉強して大学に入り、それなりの企業に就職して、マネージャーとして安定した日々を送る。それはそれで幸せな人生です。
でも、大学生の頃、スノーボードにのめり込み、ショップに入り浸っていた時期に見た「ひとつのスポーツに人生を賭けて、狂ったように熱中している大人たち」の姿が、ずっと心のどこかで眩しく光っていました。
自分にはできなかった「何かに狂う人生」を、息子には歩んでみてほしい。 彼が初めて自分から見つけた「夢中になれるもの(ロードバイク)」の種を、親の都合(お金)で摘み取ってしまって本当にいいのか?
▼ こうして「何かに狂う人生」を応援すると腹を括ったものの、現実の息子の成績は1と2ばかり。王道のレールから外れる恐怖に怯える、親のリアルな葛藤の記録はこちらです(笑)。

「買ってあげたい。でも、親が簡単に買い与えてしまえば、ただのおもちゃになってしまう」
熱血な父親としての自分と、教育者としての自分が脳内で大喧嘩を始め、私は一人で奥歯をギリッと噛み締めながら、胃薬を流し込んでいました。
「ゲーム課金欲」をハックしろ。父が企てた泥臭い裏工作
「親が完成品の料理(ロードバイク)をポンと与える、三流の料理人になってはいけない」
そう自分に言い聞かせた私は、サイトマネージャーとしての「冷徹な分析力」をフル稼働させました。まともに説得してダメなら、彼の本能(性質)をハックするしかありません。
息子の性格は、良くも悪くも「欲が出たら止まらない」タイプです。 オンラインゲームで「どうしても課金したい!」とゴネたり、試合中に「ご飯だからやめなさい」と途中で強制終了させると、この世の終わりのように激怒したりする。要するに、「自分の欲しいもの、やりたいことへ向かって突進するエネルギー(執着)」が異常に高いのです。
私は、妻の目を盗み、こっそりと息子に耳打ちしました。
「パパもママも、絶対にお金は出さないよ。……でもさ、お前、今まで貯めてきた『お年玉』があるよな? 自分で手に入れる方法、あるんじゃないの?」
親としては、完全にアウトな「悪魔の囁き」です(笑)。 しかし、この泥臭い裏工作が、息子のゲーマー魂と所有欲に見事に火をつけました。
息子の「自腹宣言」と、最高の「仕入れ担当」としてのスポンサー契約
翌日。欲に向かって突進し始めたイノシシ(息子)は、誰にも止められませんでした。
「僕、今まで貯めたお年玉を全部使って、自分でロードバイクを買う!!」
リビングに響き渡ったその「自腹宣言」に、妻も目を丸くしていました。
▼ 実はこの「自腹宣言」に至るまでには、親の夢(サッカー)の押し付けと、地獄の200kmライドという伏線がありました。息子の自律の芽生えを描いた過去のエピソードはこちら。

小学生が、自分の全財産であるお年玉(10万円以上)をひとつのものに突っ込む。その尋常ではない本気度に圧倒され、ついに妻も「……そこまで言うなら、買っていいよ」と陥落したのです。
こうして、彼は見事自分の力でロードバイクを手に入れました。
しかし、ロードバイクというのは本体を買って終わりではありません。ビンディングペダル、専用のシューズ、お尻が痛くならないパッド入りのウェア……必要な周辺機材は山のようにあります。
「よし、じゃあウェアやシューズ、ペダルは、パパがお金を出してやろう」
私は、満面の笑みでクレジットカードを切りました。 なぜ、本体は自腹で買わせたのに、周辺機材は私がお金を出したのか? 甘い親だと思われるかもしれません。
でも、違うんです。 本体(走るための覚悟)は、絶対に彼自身の力で手に入れさせなければなりませんでした。 しかし、ひとたび彼が「自分で戦う」と決めたのなら、そこから先の環境整備(インフラ)を最高レベルで整えてやるのが、親の本当の役割です。
私は、手取り足取り口を出す「口うるさい料理人」を辞めました。 その代わり、本気で戦うシェフ(息子)のために、最高の機材という食材を惜しみなく提供する「市場の仕入れ担当(最高のスポンサー)」になるという、新しい生き甲斐を見つけたのです。
▼ なぜ私が「料理人」ではなく「仕入れ担当」にこだわるのか。ビジネスの現場から導き出した、私の子育てマネジメントの原点となる哲学はこちらの記事で解説しています。

【親のためのマネジメント視点】今日の気づきとメソッド
仕事の現場でも子育てでも、相手が「何かをやりたい(欲しい)」と熱を持った瞬間が一番の勝負どころですよね。
その時、頭ごなしに「ダメだ」と否定するのは簡単です。逆に、可愛い子どものためにポンと完成品を買い与えてしまうのも、実はお金で解決できる分、親としては「楽な道」だったりします。 でも、それでは相手の「どうしても手に入れたい」という本能(内発的動機)を削いでしまう「三流の料理人」になってしまいます。
今回私は、あえて「親は買わない」と突き放し、彼自身のお年玉という「痛み(リスク)」を伴わせることで、本気の覚悟を引き出す作戦に出ました。
そして、彼が「自腹を切ってでも戦う」と腹を括ったのを見届けた後は、一切の出し惜しみをやめました。最高のペダルやシューズといったインフラ(食材)を全力で揃える「市場の仕入れ担当」に回ったのです。
親がエプロンをつけて手取り足取り口出しするのではなく、最高の素材だけを厨房の裏口からそっと差し入れして、あとはシェフ(子ども)の腕に任せる。
そんな「ちょっとズルくて泥臭いマネジメント」が、子どもの本当の熱量に火をつけるのだと、胃痛とクレジットカードの請求書を引き換えに学んだ出来事でした。これからも、出かかった口を出さないように奥歯を噛み締めながら、仕入れ担当としての腕を磨いていこうと思います。

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